第5回でマイナースケールを1つ覚えました。実は3種類あります。増えたのは理屈のためではなく、マイナーキーで「帰りたい力」を作るためです。
第5回では、A から白鍵だけを上がったものを A マイナースケールと呼びました。あれが基本形です。ただ、それだけだと困ることがあります。
なぜ3種類もあるんですか?
基本形のままだと、マイナーキーで終わった感じが作りにくいからです。第12回で「V が I へ帰りたがる」と書きましたが、マイナーキーの V は Em(マイナー)になり、引っぱる力が弱い。そこで7番目の音を半音上げて、力を取り戻したのが2つめです。
7番目を半音上げると、帰りたい力が生まれる。
ナチュラルマイナー(基本形)
第5回で聴いたものです。A から白鍵だけを上がります。切ない響きで、そのまま使える場面も多いのですが、終わった感じは弱めです。
ハーモニックマイナー(7番目を上げる)
7番目の音(G)だけを半音上げて G♯ にしたものです。オレンジの音がそれです。この1音のおかげで、Em だったコードが E(メジャー)になり、Am へ強く引っぱられるようになります。
この G♯ は、第16回で E7 を作ったときに借りた音と同じです。あのとき「キーの外から1音借りる」と書いた操作が、スケールの側から見るとハーモニックマイナーになります。呼び方が違うだけで、鳴っている音は同じです。
- Em のまま(ナチュラル)
Am | Dm | Em | Am
- E7 に変える(7番目を上げた)
Am | Dm | E7 | Am
中心の音の半音下にある音。半音でぶつかる分だけ中心へ戻りたがるので、終わった感じを作れる。ハーモニックマイナーはこの音を作るために7番目を上げている。
メロディックマイナー(6番目も上げる)
ハーモニックマイナーには弱点があります。6番目(F)と7番目(G♯)の間が半音3つ分も空いてしまい、歌いにくいのです。そこで6番目も半音上げて、間隔をならしたのがメロディックマイナーです。
名前のとおり、メロディを上へ動かすときに使います。下りるときは元の白鍵へ戻すことが多く、上りと下りで音が違う音階として説明されることもあります。
7番目を上げたマイナーの進行でメロディを作ってみてください。最後に Am へ戻ったときの落ち着き方が変わります。
Am・Dm・E7・Am で作る7番目の音を半音上げると、マイナーキーでも「帰りたい力」が生まれます。3種類の違いはそこだけです。
復習クイズ
この回を読めば答えられる問題です。選ぶとすぐに答え合わせが出ます。
第1問
ハーモニックマイナーは基本形の何を変えたもの?
第2問
7番目を上げると、V のコードはどうなる?