第33回約3分連載の目次

曲の構成と尺 — セクションを並べて1曲にする

セクションの並べ方と長さの決め方。作った断片を1曲にまとめる最後の工程です。

最終回です。ここまでで作れるのは断片でした。最後に、それを並べて1曲の形にする話をします。理論というより設計の話です。

第21回でセクションごとに役割が違うと書きました。ここではその並べ方と長さを決めます。ここまでの回で作った断片が、曲になる工程です。

1曲はどれくらいの長さにすればいいですか?

配信で聴かれることを前提にするなら3分前後が目安です。イントロは短く、遅くとも15秒以内に歌が始まる構成が多いです。ゲーム音楽やBGMなら、ループ前提で1〜2分でも成立します。

曲は、セクションを並べた設計図。

よくある並べ方

  1. イントロ — 数小節。曲の空気を出す。長くしない。
  2. Aメロ — 話し始める。音域は低め、音数は少なめ(第21回)。
  3. Bメロ — サビへの助走。終止させずに引っぱる(第15回)。
  4. サビ — 最高音を置く。反復を強くする(第20回)。
  5. 2番へ戻る、または間奏 — 1番と同じ形を繰り返す。
  6. ラスサビ — 転調や半音上げで持ち上げることもある(第17回)。
  7. アウトロ — 短く終わる。サビの一部を繰り返すだけでもよい。
ことばの意味構成(アレンジ)

セクションをどの順番で、どれだけの長さ並べるか。同じメロディでも構成が違えば別の曲に聞こえる。

セクションに向く進行は違う

第13回・第14回で扱った定番進行は、それぞれ向くセクションがあります。暗く始まる進行はAメロ、持ち上げる進行はBメロ、明るく開く進行はサビ、という具合です。下の3つを続けて聴くと、1曲の流れに聞こえます。

  • Aメロ向き(Am・F・C・G)— 暗く始める

    Am | F | C | G

  • Bメロ向き(F・G・Em・Am)— 持ち上げる

    F | G | Em | Am

  • サビ向き(C・G・Am・F)— 明るく開く

    C | G | Am | F

セクションごとに向く進行を、順番に並べて鳴らしています。続けて聴くと曲の流れになります。図の中のボタンや鍵盤を押すと音が鳴ります。音量に注意してください。

3つとも第3部で扱った定番進行です。新しいコードは1つも使っていません。並べる順番だけで、曲の起伏ができています。

長さは8小節単位で考える

セクションの長さは8小節が基本で、短くするなら4小節です。この単位で作ると、あとから並べ替えても破綻しません。ChordMelo は最大16小節まで扱えるので、1セクションぶんをまとめて生成できます。

ChordMelo で1曲を組み立てる手順

  1. セクションごとに進行を決める。上の3つの型がそのまま使えます。
  2. セクションごとに生成する。用途(歌メロ / ギター)とセクション指定を合わせる。
  3. 気に入った案だけ MIDI で保存する。ファイル名にセクション名を入れておくと後が楽です。
  4. DAW へ並べる。イントロ → Aメロ → Bメロ → サビ の順に置く。
  5. 第29回の手順で伴奏のボイシングを整える。
  6. 第30回の手順でベロシティとタイミングを整える。

この連載でやったこと

  • 第1部 — 音の名前・長さ・拍子・音階。曲の材料。
  • 第2部 — コードの作り方と、キーの中の7つ。
  • 第3部 — コードの役割と、定番進行がなぜ定番なのか。
  • 第4部 — コードの上でメロディをどう動かすか。
  • 第5部 — 変拍子と、この理論の外側にあるもの。
  • 第6部 — 音程・ぶつかる音・ボイシング・打ち込み・構成。

全33回はこれで終わりです。ここまでの内容は、必要になったときに読み返せる場所として置いておきます。理論は先に全部覚えるものではなく、困ったときに引くものです。あとは作る回数だけが効きます。作ったものを世に出してください。

最後に、サビ向きの進行でメロディを作ってみてください。第1回で同じ進行を聴いたときとは、聞こえ方が変わっているはずです。

サビ向きの進行で作る
この回の要点

曲は8小節単位のセクションの並びです。作った断片を役割ごとに並べれば形になります。

復習クイズ

この回を読めば答えられる問題です。選ぶとすぐに答え合わせが出ます。

  1. 第1問

    セクションの長さの基本は?

  2. 第2問

    イントロを作るタイミングとして勧められるのは?

コード進行から探す