同じ音符を並べても、人が弾いた演奏と打ち込みは違って聞こえます。差は音の高さではなく、強さと位置です。ここを触るだけで生っぽさが出ます。
第6部の最後は、理論ではなく打ち込みの話です。ここまでで作ったメロディを、DAWで人の演奏に近づける段階です。
「ベタ打ち」ってなんですか?
すべての音を同じ強さで、拍のちょうど上に並べた状態です。楽譜としては正しいのですが、人間はこう弾けません。強さも位置も毎回わずかに違うので、揃いすぎていると機械が鳴らしていると聞こえます。
強さと位置を、少しだけ崩す。
ベロシティで強弱をつける
MIDIは音の強さを1〜127の数字で持っています。これがベロシティです。同じ音・同じリズムのまま、拍の頭を強く、裏を弱くするだけで表情が出ます。下の2行を聴き比べてください。棒の高さがベロシティです。
- ベタ打ち(全部同じ強さ)
- 強弱あり(頭を強く、裏を弱く)
下の方が前に進んでいるように聞こえます。音の高さもリズムも変えていません。変えたのは数字だけです。
MIDIが持っている音の強さ。1〜127で、鍵盤を叩く強さに相当する。音量だけでなく音色も変わる楽器が多い。
タイミングを少しだけずらす
位置が完全にジャストだと硬く聞こえます。数tick(数ミリ秒)ずらすと、人が弾いた感じに近づきます。DAWの「ヒューマナイズ」機能はこれを自動でやるものです。
- ジャスト(強弱のみ)
- わずかにずらす(裏拍を後ろへ)
ずれは1音の長さの1割ほどで足ります。それ以上ずらすと、味ではなく下手に聞こえます。
ChordMelo から DAW への流れ
- ChordMelo でメロディを生成し、MIDI を保存する。
- DAW へ読み込む。メロディと伴奏は別トラックで書き出されます。
- 第29回の手順で、伴奏の音を高さごとに並べ替える。
- ベロシティを整える。拍の頭を強く、裏を弱く。
- 裏拍だけ数tick後ろへずらす。
- 変に聞こえる音があれば、第27回の「ぶつかる音」を疑う。
理論と打ち込みは別の技術です。どちらか片方だけでは曲になりません。第6部の残りでは、ディミニッシュとトライトーン、マイナースケールの3種類、そして構成と尺の決め方を扱う予定です。
メロディを生成して MIDI を保存し、DAW でベロシティとタイミングを触ってみてください。同じ音符が別物に聞こえます。
メロディを作って MIDI を保存する全部同じ強さ・ジャストの位置が機械っぽさの原因です。拍の頭を強く、裏を少し後ろへ。
復習クイズ
この回を読めば答えられる問題です。選ぶとすぐに答え合わせが出ます。
第1問
「ベタ打ち」とはどんな状態ですか?
第2問
人が弾いた感じに寄せるには?